RO tailor
紳士が集まるサボり場で味わう、自分だけのオーダースーツの楽しみ。
コーヒーを飲みながら布地を選ぶ。余裕ある大人の時間を感じると好評に。
1940年代、第二次世界大戦中、ドイツに占領されたパリからアメリカへ逃れようと、中継地のフランス領モロッコは人で溢れかえっていた。映画「カサブランカ」の舞台になる酒場には、ハンフリー・ボガートのような粋な身なりの紳士たちが次々に現れるが、どのシーンも絵になるほど美しい。
引き立てているのは、紳士たちが身にまとったオーダースーツ。日本でも、昭和初期頃の映画には、ごく当たり前のようにスーツを纏った紳士が登場し、難しい表情をして国論を論じるのだ。そんな時代を思い浮かべながら、「RO tailor」でスーツを仕立てていると、時間がゆっくり流れているのがわかる。
「RO tailor」は、店主の大浦さんがこだわったその名も「紳士が集まる大人のサボり場」がコンセプト。東京のカバン店で働いた後、6年前に帰郷。店で経験を重ねながらオーダーすることの楽しみや接客業の面白味にどんどん魅了され、2年前、路面店であることに憧れ現在の店に移転してきた。
あらかじめヒアリングしながら、その人にとって珠玉の1着を導き出す。
「オーダースーツは一人のお客様と2回、会う機会があるんですよ」と大浦さんは嬉しそうに話す。1回目は採寸やお客様の要望を聞きながら細かい調整を加え、趣味の話などだんだん話題は深まっていく。メインはオーダースーツだが、カジュアルでも注文できるのが特徴。ジャケット、パンツ、カーゴパンツ、チノパン、夏のショートパンツもオーダーが可能。柄シャツ、オーバーサイズのシャツや、カラーを選べるカシミアのタートルネックなどのオーダー。そしてジャケットの中に差し色になるファッション性の高いマフラーなどのオーダーにも対応している。裏地は3,000種、ボタンは1,000種を置き、他の店にはないオーダーならではの提案を細かく行っている。広島らしい折り鶴柄のオリジナル蝶ネクタイ&ポケットチーフもあるので、ゆっくりコーヒーでも飲みながら楽しんでほしいという。
若者文化の発祥の地・うらぶくろ。ファッションセンスのいい人がお客様。
セレクトショップが多く、若者文化の発祥の地として知られるうらぶくろは、ファッションセンスの高い人が多いという印象だとか。「若い方でもスーツをオーダーしに来られるお客様も増えてきたと思いますね」と大浦さん。いずれ喫茶店など横のつながりを広めながら、動線をつないで、一緒に大人の隠れ家として盛り上げていきたいと話す。